2023.11.26
福祉

就労移行支援と障害福祉請求代行の役割

就労移行支援とは

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。訓練などの支援を受ける「訓練等給付」のうちの1つであり、必要なスキルや知識を獲得し、実習などを通して就労に適応できるよう準備します。障害によって個人個人に特性があり、それぞれに合ったアプローチが必要になります。個人の特性を活かしたプログラムを組むことで、就労への移行や職場定着を支援します。

2021年から障害者法定雇用率が2.3%に引き上げられ、43.5人以上の従業員を雇用している民間企業は障害者を1人以上雇用することが義務化されました。守っていない企業はハローワークから行政指導が入ることがあります。雇用した企業は障害者雇用納付金制度が利用でき、障害者を雇用するためにかかる経済的負担を軽減することができます。

障害者法定雇用率が引き上げられ障害者の雇用の場を増やすことで、障害者と社会との繋がりを作り、収入面だけではなく自己実現の機会の場にもなっています。就労移行支援は就労を希望する障害者と企業を繋ぐ役割をもつ重要なサービスです。職業訓練から就労後の支援までおこない、サービス内容が多様になることで請求業務も複雑になることがあります。請求業務の効率化のために障害福祉請求代行やソフトを利用しているところもあります。障害福祉請求代行は、請求の専門家が対応するため複雑な請求業務にも正確に対応できる特徴があり、事業の円滑な運営に役立っています。

利用対象と期間

身体・知的・精神(発達障害)の障害がある人や難病を抱える人々が自分に適した職業を見つけるために支援する制度になります。就労を希望し、就労が可能と見込まれる人が対象になります。利用者には企業への就労を希望する人や、技術や知識を獲得し在宅で起業・就労を希望する人などがいます。対象年齢は18歳以上から65歳未満の人が利用でき、原則として就職後6ヵ月間の職場定着支援を含む一定期間が利用期間として設定されています。標準期間は24ヵ月とされ、その期間の中で職業訓練など本人が必要な支援を受けます。

標準期間の24ヵ月を12ヵ月と12ヵ月に分けて利用できるところなどもあり、利用期間やサポート内容はそれぞれの事業所に確認するといいでしょう。

サービス内容

就労移行支援は大きく分けて3つの役割を担います。1つ目は、本人の特性に合わせた適切な職業に就くための知識や能力を身に着けるためのトレーニングをおこなう「職業訓練」です。個々のニーズに合わせたプログラムを用意し、特性に合わせたアプローチをすることで知識や技術の習得を目指します。プログラム内容は事業所によって異なり、パソコンスキルやビジネスマナー、コミュニケーション、実習に力を入れているところなどさまざまな支援があります。自分のニーズに合った支援を受けられる事業所を探し、自分の希望をしっかり伝えることで実りある就労支援を受けることができるでしょう。

2つ目はハローワークや従業支援センターとの連携を取り、利用者の適性やスキルに基づいて、最適な職場を見つけるサポートをおこなう「職場探し」です。本人のニーズと適性を考えながら就労先を探します。

3つ目は就職後6ヵ月の間、定期的な面談やアドバイスを通して職場での定着を目指しサポートする「職場定着支援」です。この支援期間で徐々に自立して就労することができるようにサポートします。

就労移行支援のメリットと注意点

就労移行支援は、就労に向けての準備から就労後の支援も受けることができ、働きたいと思う障害者をサポートしています。就労移行支援を利用するメリットとしては、職業訓練を受け就労に向けて必要な技術やスキルを習得でき、実習や訓練を通して社会性を身に着ける機会が提供されることです。自分の特性を明かし適切な配慮を受けながら就職活動をすることで、自分に合った職場探しのサポートを得られます。就職後終了ということはなく、その後6ヵ月間は職場定着の支援を受けることができます。障害者側も受け入れる側も定着支援を受けることで、適切なアプローチ方法を学べます。

注意点としては、障害者の雇用を支援するサービスになるため、障害があることを公にすることに躊躇がある場合は相談が必要です。事業所によって求人や訓練内容などが違うため、自分の希望に合った事業所を選ぶ必要があります。障害雇用枠と自身のスキルや目標が合うかを検討する必要があり、自分の目標などを明確に伝えておくといいでしょう。

障害福祉請求代行の役割

障害福祉請求代行とは、事業所が利用し障害福祉サービスの請求手続きや手続きの説明をサポートするサービスです。事業所が障害福祉請求代行を活用することで、請求業務に使っていた時間を他の業務に使用することができます。障害福祉サービスは、さまざまな特性がある人に対応するため、個人個人に合ったアプローチが必要になります。個別対応が多くなることでスタッフの業務量が増えてしまうことがあります。事務作業や請求業務もスタッフがおこなうと負担になってしまうことがあり、障害福祉請求代行を活用している事業所もあります。

障害福祉請求代行を活用することで、スタッフの負担軽減や業務の効率化が得られます。また障害福祉請求代行を活用するメリットは利用者にもあります。請求業務を障害福祉請求代行に依頼することで、スタッフは本来の支援業務に集中することができ、複雑な請求内容に関する利用者からの質問にも回答できるようになります。障害福祉請求代行は、利用者や関係者が煩雑な手続きに追われることなく、本来のケアやサービスに集中できる環境を整備し、サービスの質を向上させるでしょう。